ビジネスシーンで敬語を使う場面は多いですが、「正しいと思って使っていた敬語が、実は間違いだった」ということは珍しくありません。敬語の誤用は相手に違和感を与えたり、ビジネスパーソンとしての信頼を損なうこともあります。この記事では、間違いやすい敬語を10個厳選し、よくある誤用と正しい表現をわかりやすく解説します。
間違いやすい敬語10選|誤用と正しい表現

1.「了解しました」→「承知しました」「かしこまりました」
「了解しました」は敬語として間違いではありませんが、目上の人やお客様に対しては「承知しました」「かしこまりました」を使うのが適切です。「了解」にはフラットなニュアンスがあるため、上司や取引先に対して使うと失礼に感じられることがあります。
- × 了解しました
- ○ 承知しました/かしこまりました
2.「なるほどですね」→「おっしゃるとおりです」
「なるほどですね」は、「なるほど」に「です」を付けた造語であり、正しい敬語ではありません。相手の話に同意・納得を示す場合は、以下の表現を使いましょう。
- × なるほどですね
- ○ おっしゃるとおりです/勉強になります
3.「お体ご自愛ください」→「ご自愛ください」
「ご自愛ください」の「自愛」にはすでに「自分の体を大切にする」という意味が含まれています。「お体」を付けると意味が重複するため、「ご自愛ください」だけで十分です。
- × お体ご自愛ください
- ○ ご自愛ください
4.「〜させていただく」の乱用
「させていただく」は、本来「相手の許可を得て行う場合」や「そのことで自分が恩恵を受ける場合」に使う表現です。しかし、何でも「させていただく」を付けてしまう「させていただく症候群」が増えています。
- × 本日はお休みさせていただきます(自分で決めた休みの場合)
- ○ 本日はお休みいたします
- × 資料を確認させていただきました
- ○ 資料を確認いたしました
「相手の許可が必要な行為」であれば「させていただく」は適切です。たとえば「お見積もりを送付させていただきます」は問題ありません。
5.「ご覧になられる」→「ご覧になる」
「ご覧になられる」は、「ご覧になる」(尊敬語)+「られる」(尊敬の助動詞)の二重敬語です。敬語を重ねると過剰になり、かえって不自然な印象を与えます。
- × ご覧になられましたか
- ○ ご覧になりましたか
6.「おっしゃられる」→「おっしゃる」
こちらも二重敬語の典型例です。「おっしゃる」自体が「言う」の尊敬語なので、さらに「られる」を付ける必要はありません。
- × 部長がおっしゃられたように
- ○ 部長がおっしゃったように
7.「拝見させていただきます」→「拝見します」
「拝見」は「見る」の謙譲語です。これに「させていただく」を重ねると、二重に謙譲表現を使った過剰な敬語になります。シンプルに「拝見します」で丁寧さは十分伝わります。
- × 拝見させていただきます
- ○ 拝見します/拝見いたします
8.「とんでもございません」→「とんでもないことです」
「とんでもない」は一語の形容詞であり、「とんでも」と「ない」に分けて「ない」を「ございません」に変えるのは文法的に誤りです。ただし、近年では慣用的に広く使われており、文化庁も「問題ない」としています。厳密に正しく使いたい場合は以下の表現がおすすめです。
- △ とんでもございません(慣用的には許容)
- ○ とんでもないことです/恐れ入ります
9.「お名前を頂戴できますか」→「お名前をお聞かせいただけますか」
「頂戴する」は物をもらうときに使う謙譲語であり、名前は物ではないため「お名前を頂戴する」は不自然です。名前を尋ねるときは、以下のような表現が適切です。
- × お名前を頂戴できますか
- ○ お名前をお聞かせいただけますか/お名前をうかがってもよろしいでしょうか
10.「よろしかったでしょうか」→「よろしいでしょうか」
いわゆる「バイト敬語」の代表例です。現在のことを確認しているのに過去形を使うのは不自然です。「よろしいでしょうか」とシンプルに聞きましょう。
- × こちらでよろしかったでしょうか
- ○ こちらでよろしいでしょうか
間違いやすい敬語の一覧表
10個の誤用と正しい表現をまとめます。
| よくある誤用 | 正しい表現 | 間違いのポイント |
|---|---|---|
| 了解しました | 承知しました/かしこまりました | 目上の人には不適切な印象 |
| なるほどですね | おっしゃるとおりです | 造語であり正しい敬語ではない |
| お体ご自愛ください | ご自愛ください | 意味の重複(二重表現) |
| 〜させていただく(乱用) | 〜いたします | 許可が不要な場面での誤用 |
| ご覧になられる | ご覧になる | 二重敬語 |
| おっしゃられる | おっしゃる | 二重敬語 |
| 拝見させていただきます | 拝見します | 二重の謙譲表現 |
| とんでもございません | とんでもないことです | 形容詞の誤った分解(慣用的には許容) |
| お名前を頂戴できますか | お名前をお聞かせいただけますか | 「頂戴」は物に使う謙譲語 |
| よろしかったでしょうか | よろしいでしょうか | 現在のことに過去形を使用(バイト敬語) |
敬語を正しく使うためのコツ
尊敬語・謙譲語・丁寧語の基本を押さえる
敬語は大きく3種類に分けられます。基本を理解しておくと、誤用を防ぎやすくなります。
- 尊敬語:相手の動作を高める表現(例:いらっしゃる、おっしゃる、ご覧になる)
- 謙譲語:自分の動作をへりくだる表現(例:参る、申す、拝見する)
- 丁寧語:文末を丁寧にする表現(例:です、ます、ございます)
二重敬語に注意する
「尊敬語+尊敬の助動詞」「謙譲語+させていただく」など、同じ種類の敬語を重ねるのが二重敬語です。丁寧にしようとして敬語を重ねてしまうケースが多いので、シンプルな表現を心がけましょう。
迷ったらシンプルな表現を選ぶ
敬語は凝りすぎると不自然になりがちです。「丁寧すぎて何を言いたいのかわからない」状態よりも、シンプルで明確な敬語のほうが好印象です。「です・ます」をベースに、必要な場面で尊敬語・謙譲語を適切に使い分けるのが理想です。
まとめ
間違いやすい敬語のポイントをあらためて整理します。
- 二重敬語に注意:「ご覧になられる」「おっしゃられる」など、敬語の重複は避ける
- 「させていただく」は使いすぎない:相手の許可が必要な場面に限定して使う
- バイト敬語に気をつける:「よろしかったでしょうか」など、日常で習慣化した誤用を見直す
- 迷ったらシンプルに:過剰な敬語よりも、わかりやすい丁寧な表現を選ぶ
敬語は一朝一夕では身につきませんが、よくある間違いを知っておくだけでも大きな差が出ます。日頃のメールや会話で意識して使い分けることで、自然と正しい敬語が身についていきますよ。


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