「震度5強の地震が発生しました」「マグニチュード7.0の地震です」——ニュースでよく耳にするこの2つの言葉ですが、その違いを正確に説明できますか?実は、震度とマグニチュードはまったく異なる指標です。震度は「ある場所での揺れの大きさ」、マグニチュードは「地震そのもののエネルギー規模」を表しています。この記事では、両者の違いや関係性、マグニチュードが1上がるとエネルギーが約32倍になる仕組みなどを、わかりやすく解説します。
震度とは?「その場所の揺れの大きさ」を示す指標
震度とは、地震が起きたときに、ある地点でどれくらい揺れたかを表す数値です。同じ地震でも、震源に近い場所では震度が大きく、遠い場所では震度が小さくなります。
日本の震度階級は10段階
日本では気象庁が定めた「気象庁震度階級」が使われており、以下の10段階に分かれています。
| 震度 | 揺れの体感・被害の目安 |
|---|---|
| 0 | 人は揺れを感じない |
| 1 | 屋内で静かにしている人の一部が、わずかな揺れを感じる |
| 2 | 屋内で静かにしている人の多くが揺れを感じる |
| 3 | 屋内にいるほとんどの人が揺れを感じる |
| 4 | 眠っている人のほとんどが目を覚ます。つり下げ物が大きく揺れる |
| 5弱 | 多くの人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる |
| 5強 | 物につかまらないと歩くことが難しい。棚の食器や本が落ちることがある |
| 6弱 | 立っていることが困難。固定していない家具が倒れることがある |
| 6強 | はわないと動けない。壁のタイルや窓ガラスが破損・落下する |
| 7 | 耐震性の低い建物は倒壊する恐れがある。自分の意思で行動できない |
震度は0から7までの数字ですが、5と6にはそれぞれ「弱」「強」があるため、全部で10段階になっています。
震度は計測震度計で自動測定
かつては体感や被害状況から職員が判断していましたが、1996年以降は全国各地に設置された計測震度計によって自動的に測定されています。地面の揺れの加速度などを基に計算され、客観的な数値として発表される仕組みです。
マグニチュードとは?「地震のエネルギー規模」を示す指標
マグニチュード(M)は、地震そのものが持つエネルギーの大きさを表す数値です。震度が「場所ごとに異なる値」であるのに対し、マグニチュードは1つの地震に対して1つの値が決まります。
マグニチュードが1上がるとエネルギーは約32倍
マグニチュードの特徴として、数値が1大きくなるとエネルギーは約32倍、2大きくなると約1,000倍(32×32=1,024倍)になります。つまり、M7の地震はM5の地震の約1,000倍ものエネルギーを持っているということです。
この関係を式で表すと以下のようになります。
log₁₀E = 4.8 + 1.5M(Eはエネルギー〔ジュール〕、Mはマグニチュード)
マグニチュードが1増えると、エネルギーの対数が1.5増えるため、10の1.5乗=約31.6倍(≒約32倍)となるわけです。
マグニチュードの目安
- M3未満:体に感じないことが多い微小な地震
- M3〜5:震源が浅ければ震度3〜4程度の揺れになることがある
- M5〜7:被害が出る可能性がある地震。M7クラスは大地震と呼ばれる
- M7〜8:広範囲に甚大な被害をもたらす。2016年の熊本地震(M7.3)など
- M8以上:巨大地震。2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0)が代表例
震度とマグニチュードの違いを比較表で整理

ここまでの内容を、比較表でまとめてみましょう。
| 比較項目 | 震度 | マグニチュード(M) |
|---|---|---|
| 何を表すか | ある地点での揺れの大きさ | 地震そのもののエネルギー規模 |
| 値の数 | 観測地点ごとに異なる(複数) | 1つの地震に対して1つ |
| スケール | 0〜7(10段階) | 理論上は上限なし(実測では最大M9クラス) |
| 影響する要因 | 震源からの距離、地盤の性質、震源の深さなど | 断層の面積や動いた量 |
| たとえるなら | 焚き火に当たったときの「暖かさ」(距離で変わる) | 焚き火そのものの「火力」(火は1つ) |
この「焚き火のたとえ」はよく使われますが、とてもわかりやすいです。火力(マグニチュード)が同じでも、近くにいれば熱い(震度が大きい)し、離れれば涼しい(震度が小さい)というわけですね。
震度とマグニチュードの関係に影響する3つの要因
マグニチュードが大きければ震度も大きくなりやすいのは事実ですが、必ずしも比例するわけではありません。震度に影響を与える主な要因は以下の3つです。
1. 震源からの距離
震源に近いほど揺れは大きくなり、遠いほど小さくなります。M7クラスの地震でも、震源から何百kmも離れていれば震度1〜2程度ということもあります。
2. 震源の深さ
震源が浅い地震(深さ10km程度)は、マグニチュードが小さくても地表での揺れが大きくなりやすいです。逆に、深さ数百kmの深発地震は、マグニチュードが大きくても地表での揺れは比較的小さくなることがあります。
3. 地盤の性質
やわらかい地盤(埋立地や河川敷など)は揺れが増幅されやすく、硬い岩盤の上では揺れが小さくなる傾向があります。同じ距離でも、地盤の違いによって震度が1〜2段階異なることもあります。
よくある疑問をQ&Aで解説
Q. 震度8はないの?
日本の震度階級は最大で震度7です。震度7に上限はなく、どれだけ激しい揺れでも震度7と表現されます。過去に「震度8を新設すべき」という議論はありましたが、現時点では変更されていません。
Q. マグニチュードに上限はある?
理論上は明確な上限はありませんが、地球上の断層の大きさには物理的な限界があります。観測史上最大の地震は、1960年のチリ地震(M9.5)です。
Q. 海外でも震度は使われている?
使われていますが、国によって基準が異なります。アメリカやヨーロッパでは「改正メルカリ震度階級(MMI)」というI〜XIIの12段階の指標が使われています。日本の気象庁震度階級とは基準が異なるため、単純に数値を比較することはできません。
まとめ
震度とマグニチュードの違いをもう一度整理します。
- 震度は「ある地点での揺れの大きさ」。場所によって値が変わる。日本では0〜7の10段階。
- マグニチュードは「地震そのもののエネルギー規模」。1つの地震に1つの値。1上がるとエネルギーは約32倍。
- 両者の関係は、震源からの距離・震源の深さ・地盤の性質によって変わる。
地震のニュースを見るときに「震度は揺れ、マグニチュードはエネルギー」と覚えておくだけで、情報の意味がぐっと理解しやすくなります。日本は地震の多い国ですので、正しい知識を身につけて、いざというときの備えに役立てましょう。


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